本の持つチカラ
2015/11/27
最近、肌寒くなってきました。季節は秋、真っ只中ということで、私は今季を「読書の秋」にしようと思います。
とりあえず、休日に新たに本を2冊購入しました。少し難しい本ですが、古市憲寿著『だから日本はズレている』と
坂口恭平著『独立国家のつくりかた』です。
この2冊の本のタイトルだけ見ると難しそうな印象ですが、共に中身は非常に共感できる文章が多い本です。
前者の本は、怒られてしまいそうですが、「若者」というカテゴリーに分類される私も感じている、日本を動かしている
「おじさん」についてです。
日本の「ズレ」は、「若者」と「おじさん」の物語という辛口な本ですが、指摘が的を射ていて面白い。
私の尊敬する社会学者でかつ「若者」の1人で、数年前の著書『僕たちの前途』でも、こんな「若者」で良いのだと
勇気をもらいました。
後者の本は、「独立国家」のつくりかたとタイトルだけでは敬遠しそうですが、建築家・作家・絵描き・踊り手・歌い手…と
様々な肩書きを持っている著者自身の「生活」のつくり方が描かれています。
著者自身と述べましたが、島国特有の多様性に敏感な私たちの「生活」のつくりかたの参考書に感じました。
設計活動を行っている私は、この本からつくりかたの発想を教えてもらいました。
この他にも建築の本が多いのですが、本を読むようにしています。
モヤモヤとした自分の思考が、感覚的に間違ってはいないという安心感を与えてくれます。
私は本の持つチカラに助けられているのかもしれません。
現在、私は設計した大刀洗町の図書館リニューアルの現場監理を行っています。
今まで使用していた人だけでなく、少子高齢社会の中、高齢者や子育て世代の地域コミュニティの場として新しい図書館が
コンペ時から期待されています。
今月、北九州の図書館を2つ見てきたのですが、休日なのに多くの人で埋め尽くされているのに驚きました。
地域の図書館の重要性については、最近、ネットやテレビで話題になることが多いように感じます。
特に思い当たるのは、賛否はあるものの、いじめに悩む子の家や学校ではない第3の場所として、図書館という話です。
私が最近考えているのは、図書館に限らず、地域の公共性の高い空間には、性格の異なる空間が点在している空間が
必要ではないかと思っています。
多様な人々を受け入れる空間、そして使い倒される空間によって、新しい地域のチカラをつくれるのではないかと思っています。
図書館はそのチカラを一番つくり易い場所なのかもしれません。
私も助けられている本の持つチカラが大きく作用するのかもしれません。
仕掛けのある空間に加え、最後に様々な本で埋め尽くされて、新しい空間が生まれるのを期待すると同時に、
今現在、そんな空間を実現しないといけない責任感を抱いています。
設計部1課 井田